「ダウン症の子どもは、中耳炎になりやすい」
Aoが生まれてから、僕は初めてそのことを知りました。
それまでの僕にとって中耳炎は、「子どもがよくなる病気」くらいの認識。耳鼻科も、耳が痛くなったり風邪をひいたりしたときに行く場所だと思っていました。
でも、ダウン症の子どもでは滲出性中耳炎や難聴など、耳と聞こえの問題にも注意が必要です。
特に滲出性中耳炎は、強い痛みや発熱が目立たないこともあり、小さな子どもでは親が気づくのが簡単ではありません。
Ao自身も現在、中等度難聴と診断され、耳と聞こえについて継続して診てもらっています。
この記事では、ダウン症の子どもがなぜ中耳炎に注意する必要があるのか、滲出性中耳炎と聞こえの関係、耳鼻科での確認について、Aoを育てる中で僕が知ったこと・感じたこととあわせてまとめます。
ダウン症の子どもは中耳炎になりやすい?
Aoが生まれてから、ダウン症についていろいろ調べるようになりました。
心臓のこと、甲状腺のこと、目のこと。
そして、その中で知ったのが「ダウン症の子どもは耳のトラブルも起こりやすい」ということでした。
正直、それまでの僕にとって中耳炎は、
「子どもがよくなる病気」
くらいの認識しかありませんでした。
ところが調べていくと、ダウン症の子どもでは難聴や滲出性中耳炎など、耳や聞こえの問題にも注意が必要だと分かりました。
実際、「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2022年版」でも、ダウン症の子どもについて独立した項目が設けられています。
もちろん、
「ダウン症だから必ず中耳炎になる」わけではありません。
ただ、耳のトラブルが起こりやすいことを知っておく意味は大きいと、Aoを育てる中で感じています。
特に気になったのが、滲出性中耳炎でした。
僕がそれまでイメージしていた「耳が痛くなって、熱が出て……」という中耳炎とは少し違います。
場合によっては、子ども本人が強く痛がらないまま「聞こえ」に影響していることもあるからです。
まだ自分で、
「なんだか耳が聞こえにくい」
なんて伝えられない小さな子どもだったら、親が気づくのも簡単ではありません。
では、滲出性中耳炎とはどんな中耳炎なのか。
まずはそこから整理していきます。
特に気をつけたい「滲出性中耳炎」は気づきにくい
ダウン症の子どもの耳について調べていて、僕が特に気になったのが「滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)」でした。
滲出性中耳炎は、鼓膜の奥にある「中耳」に液体がたまっている状態です。
一般的にイメージしやすい急性中耳炎とは違い、強い耳の痛みや発熱が目立たないことがあります。
これが、親としてはちょっと怖いところでした。
痛みや発熱が目立たないことがある
「耳が痛い!」
と泣いてくれれば、親も「中耳炎かも」と考えられます。
でも、滲出性中耳炎ではそうした分かりやすい症状がないこともあります。
特に乳幼児の場合、
「耳が詰まっている感じがする」
「前より聞こえにくい」
なんて自分から説明することはできません。
だから、痛がっていないから耳は大丈夫、とは限らないんですよね。
Aoのように、まだ自分の聞こえ方を言葉で伝えられない子どもを育てていると、この「本人から訴えがない」というのは大きなポイントだと感じます。
「聞こえにくさ」が最初のサインになることも
中耳に液体がたまると、音が伝わりにくくなり、聞こえに影響することがあります。
たとえば、
- 呼びかけても反応しにくい
- テレビなどの音を大きくしたがる
- 聞き返すことが増える
といった変化が見られることもあります。
ただ、小さな子どもでは「聞こえにくいのか」「何かに集中しているだけなのか」を家庭だけで判断するのは難しいと思います。
ましてダウン症の子どもは、発達のペースにも一人ひとり違いがあります。
反応が少ないからといって、親がすぐに「耳が悪い」と判断できるものでもありません。
だからこそ、家庭で全部を見抜こうとするのではなく、耳鼻科で耳の状態や聞こえを確認してもらうことが大切なのだと思います。
では、そもそもなぜダウン症の子どもでは、こうした中耳炎や聞こえの問題が起こりやすいのでしょうか。
なぜダウン症では中耳炎や難聴が多いの?
では、なぜダウン症の子どもは中耳炎や聞こえの問題に注意が必要なのでしょうか。
僕もAoが生まれてから調べるまで、
「子どもは中耳炎になりやすいから、その延長なのかな?」
くらいに思っていました。
でも実際には、ダウン症に伴う身体的な特徴など、いくつかの要因が重なっていると考えられています。
耳管の構造や働きが関係する
中耳と鼻の奥をつないでいるのが「耳管(じかん)」です。
耳管には、中耳の圧力を調整したり、中耳にたまった分泌物を外へ排出したりする役割があります。
ダウン症の子どもでは、この耳管の構造や働きなどの影響によって、中耳に液体がたまりやすく、滲出性中耳炎につながることがあります。
僕が最初にこの仕組みを知ったとき、
「ダウン症と耳のトラブルって、ちゃんとつながっているんだ」
と驚きました。
それまでは心臓などの合併症には意識が向いていましたが、「耳」まで注意して見ていく必要があるとは考えていなかったからです。
原因は一つではない
ただし、
「耳管の形だけが原因で中耳炎になる」
という単純な話ではありません。
ダウン症では、頭や顔、耳周辺の構造的な特徴や筋緊張など、複数の要因が耳の状態に関係するとされています。
さらに、「聞こえにくさ」の原因も中耳炎だけとは限りません。
外耳道が狭いことや耳垢、内耳などの問題が関係する場合もあります。
だからこそ、
「ダウン症だから中耳炎だろう」
「聞こえにくそうだから、きっと中耳炎だ」
と親だけで決めつけないことも大切です。
Aoを育てていると、ダウン症に関係する身体の特徴は本当にいろいろあると感じます。
一つの症状だけを見て原因を決めるのではなく、必要な検査や診察を受けながら確認していく。
耳や聞こえについても、それが大切なのだと思っています。
中耳炎による「聞こえにくさ」はどうやって気づく?
滲出性中耳炎で難しいのは、耳の中の状態を親が外から見ても分からないことです。
しかも小さな子どもは、自分の聞こえ方を言葉で説明できません。
だから、
「最近、呼んでも振り向かない気がする」
「前より音への反応が弱い?」
そんな日常の小さな変化が、耳や聞こえについて考えるきっかけになることがあります。
ただ、ここで僕が大事だと思うのは、親が家庭で聞こえを判定しようとしすぎないことです。
子どもが振り向かない理由なんて、いくらでもあります。
遊びに夢中なのかもしれない。
眠いのかもしれない。
その日の気分かもしれない。
特に乳幼児では、普段の様子だけから「聞こえている・聞こえていない」を判断するのは簡単ではありません。
また、聞こえにくさがあるとしても、その原因が必ず中耳炎とは限りません。
だからこそ、「ちょっと気になる」が続いたときには、その感覚を診察や検査につなげることが大切なのだと思います。
そしてダウン症の子どもの場合、耳や聞こえについては「何か起きてから初めて調べる」だけではなく、継続して確認していく視点も大切です。
わが家も、Aoの耳と聞こえについては継続して診てもらっています。
そして実際にAoは、検査を受ける中で「中等度難聴」と診断されました。
親としては、
「普段、音に反応しているから大丈夫そう」
だけでは分からないことがある。
Aoの検査を経験して、それを実感しました。
次は、Aoが実際に耳や聞こえについてどのように診てもらってきたのか、わが家の経験を書いていきます。
Aoも耳と「聞こえ」を継続して診てもらっている
僕がダウン症と耳の関係を意識するようになったきっかけの一つが、先輩パパママからの言葉でした。
Aoが生まれてから、ダウン症の子どもを育てている方と話す機会が何度かありました。
そこで何度も聞いたのが、
「耳鼻科は定期的に行った方がいいよ」
という話です。
中耳炎を繰り返した経験や、聞こえと言葉の発達を心配した経験を聞きました。
でも当時の僕は正直、
「耳鼻科って、風邪をひいたときに行くくらいじゃないの?」
と思っていました。
心臓や呼吸など、Aoにはほかにも気になることがたくさんありました。
その中で「耳」をそこまで重要なものとして考えていなかったんです。
ところが、Ao自身も耳や聞こえについて診てもらうようになり、現在は中等度難聴と診断されています。
そうなると、先輩パパママから言われていた「耳鼻科は大事」という言葉の重みも、以前とはまったく違って感じます。
また、ダウン症の子どもでは外耳道が狭く、耳垢がたまりやすいこともあります。
Aoについても、耳の中を家庭だけで管理しようとするのではなく、耳鼻科に診てもらうことの大切さを感じています。
中耳炎だけを見るのではなく、
耳の状態はどうか。
聞こえはどうか。
両方を継続して確認していく。
Aoを育てる中で、わが家にとって「耳鼻科」は、風邪をひいたときだけ行く場所ではなくなりました。
ダウン症児の中耳炎は耳鼻科でどう診てもらう?
「中耳炎になっていないか心配」
「ちゃんと聞こえているのか気になる」
そんなときは、耳鼻科で耳の状態を確認してもらいます。
滲出性中耳炎では、鼓膜の状態を診察するほか、必要に応じて聴力検査やティンパノメトリーなどを組み合わせて評価します。
ティンパノメトリーは、鼓膜や中耳の状態を調べる検査です。
ただし、小さな子どもの聴力検査は大人と同じようにはいきません。
年齢や発達によってできる検査も違うため、その子に合わせた方法で聞こえを確認していくことになります。
耳の状態だけでなく「聞こえ」の確認も大切
親として気になるのは、
「中耳炎になっているか」
だけではありません。
僕自身、Aoが中等度難聴と診断されてからは、耳の中がどうなっているかと、実際にどのくらい聞こえているのかは、分けて考える必要があると感じています。
中耳炎が聞こえに影響することもありますが、ダウン症の子どもの聞こえにくさには、それ以外の原因が関係する場合もあります。
だからこそ、「中耳炎がなければ聞こえも大丈夫」と単純には考えず、必要に応じて聞こえそのものを評価してもらうことも大切です。
治療方法は子どもの状態によって異なる
もし滲出性中耳炎が見つかったとしても、すべての子どもが同じ治療を受けるわけではありません。
経過をみる場合もあれば、状態によっては鼓膜換気チューブなどが検討されることもあります。
ダウン症の子どもについては、小児滲出性中耳炎の診療ガイドラインでも、鼓膜換気チューブや補聴器を含めた診療について個別に取り上げられています。
だから、このブログで「この治療をした方がいい」とは言えません。
大切なのは、その子の耳の状態や聞こえを確認しながら、耳鼻科の先生と相談していくことだと思います。
僕もAoを育てるまでは、耳鼻科についてここまで考えたことはありませんでした。
でも今では、「耳が痛そうになったら行く場所」ではなく、Aoの聞こえを継続して確認していく場所の一つになっています。
ダウン症児だからこそ「痛がっていない=大丈夫」とは限らない
Aoが生まれる前の僕だったら、
「耳を痛がっていないなら大丈夫」
と思っていたかもしれません。
耳鼻科も、風邪をひいたときや耳が痛くなったときに行く場所。
そんなイメージでした。
でも、ダウン症と耳の関係を知り、Ao自身も聞こえについて診てもらうようになって、その考え方は変わりました。
滲出性中耳炎のように、強い痛みや発熱が目立たないまま聞こえに影響するものもあります。
まして、小さな子どもは、
「前より聞こえにくい」
「耳が詰まっている感じがする」
と自分から説明することができません。
だからといって、親が毎日「聞こえてる?大丈夫?」と神経質になりすぎる必要もないと思っています。
僕自身、Aoを育てていると、心臓、呼吸、発達、耳……と、気にしようと思えばいくらでも気になることが出てきます。
全部を親だけで見抜こうとするのは無理です。
だからこそ、
「ダウン症の子どもは耳や聞こえにも注意が必要なんだ」
と知っておく。
そして、気になることがあれば専門家に診てもらう。
定期的に確認する必要があるなら、忘れずにつないでいく。
それくらいでいいのではないかと思っています。
先輩パパママから「耳鼻科は定期的に行った方がいいよ」と聞いたときには、いまひとつピンときていませんでした。
でも今なら、その意味がよく分かります。
中耳炎になりやすいと知ることは、不安になるためではありません。
知らなければ見過ごしてしまうかもしれないことを、知っていれば確認できる。
Aoの耳と聞こえについても、これから長く付き合いながら見ていこうと思っています。
まとめ|ダウン症の子どもは耳と「聞こえ」も継続して確認したい
Aoが生まれるまで、僕はダウン症と中耳炎に深い関係があることを知りませんでした。
でも調べていくと、ダウン症の子どもでは滲出性中耳炎や難聴など、耳と聞こえについて注意していく必要があることが分かりました。
特に滲出性中耳炎は、強い痛みや発熱が目立たないことがあります。
まだ「聞こえにくい」と自分で伝えられない小さな子どもなら、家庭だけで気づくのは簡単ではありません。
だからこそ、
「痛がっていないから大丈夫」と決めつけない。
そして、気になることがあれば耳鼻科につなげ、必要に応じて聞こえも確認してもらう。
わが家でも、Aoが中等度難聴と診断されたことで、耳鼻科に対する考え方は大きく変わりました。
以前は「耳や風邪の症状が出たときに行く場所」だった耳鼻科が、今ではAoの耳と聞こえを継続して確認してもらう大切な場所の一つです。
ダウン症の子どもは中耳炎になりやすい。
それを知ると、不安になるかもしれません。
でも僕は、
知らなければ見過ごしてしまうかもしれないことも、知っていれば確認できる。
そう考えています。
これからもAoの成長を見ながら、耳と聞こえについても長く付き合っていこうと思います。

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