療育手帳とは?対象者・申請方法・判定基準・受けられる支援をわかりやすく解説

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療育手帳とは?対象者・申請方法・判定基準・受けられる支援をわかりやすく解説

「療育手帳って、そもそもどんな手帳?」

子どもの発達について相談したり、療育や福祉サービスについて調べたりする中で、初めて「療育手帳」という言葉を知った方もいるのではないでしょうか。

療育手帳とは、児童相談所や知的障害者更生相談所で知的障害があると判定された人に交付される手帳です。

知的障害のある人が継続して相談や支援を受けたり、さまざまな援助制度を利用しやすくしたりすることを目的としています。

ただ、いざ自分の子どもの療育手帳について調べ始めると、

  • 「どんな子が対象になるの?」
  • 「ダウン症や発達障害があれば取得できる?」
  • 「どこに申請して、どんな検査を受けるの?」
  • 「A1・A2・B1・B2って何?」
  • 「取得すると、どんな支援を受けられる?」

など、次々と疑問が出てきます。

我が家も、ダウン症のある息子Aoが1歳6ヶ月のときに児童相談所で発達検査を受け、療育手帳を取得しました。

判定はA1(最重度)。

実際に取得するまでには、発達検査を受けたり、普段の生活について親が質問されたりと、経験して初めて分かったこともたくさんありました。

この記事では、これから療育手帳について調べる保護者の方に向けて、療育手帳とは何か、対象者、申請から判定・交付までの流れ、判定基準、取得後に受けられる主な支援、再判定までをまとめて解説します。

さらに、実際に子どもの療育手帳を取得した親として、我が家の経験もあわせて紹介します。

※療育手帳の名称・判定区分・判定基準・申請方法・再判定時期などは自治体によって異なります。実際に申請する際は、お住まいの自治体の担当窓口で最新情報をご確認ください。

目次

療育手帳とは?知的障害のある人を支援につなげるための手帳

療育手帳とは、児童相談所や知的障害者更生相談所などで知的障害があると判定された人に交付される手帳です。(厚生労働省「障害者手帳について」)

厚生労働省によると、療育手帳制度は、知的障害のある人に手帳を交付することで、各種の援助措置を受けやすくすることを目的としています。

子どもの発達について相談していると、「療育手帳を取得してみては?」と勧められることがあるかもしれません。

しかし、初めて名前を聞いたときには、

  • 「障害者手帳とは違うの?」
  • 「取得すると何が変わるの?」
  • 「一度取得したらずっと持ち続けるの?」

など、分からないことも多いと思います。

まず知っておきたいのは、療育手帳は子どもの将来を決めるためのものではなく、必要な支援につながりやすくするための手帳だということです。

療育手帳は知的障害のある人を対象とした手帳

障害者手帳には、大きく分けて次の3種類があります。

手帳主な対象
身体障害者手帳身体に一定の障害がある人
療育手帳知的障害があると判定された人
精神障害者保健福祉手帳一定程度の精神障害の状態にある人

このうち、知的障害のある人を対象としているのが療育手帳です。

ただし、「特定の診断名がついたら自動的に療育手帳が交付される」という仕組みではありません。

原則として、児童相談所や知的障害者更生相談所などで判定を受け、その結果をもとに交付されます。

子どもの場合には、発達検査や保護者への聞き取り、日常生活の状況などを確認しながら判定が行われることがあります。

そのため、

「○○という障害がある=必ず療育手帳を取得できる」

と単純には考えられない点には注意が必要です。

療育手帳は全国でまったく同じ制度ではない

療育手帳について調べると、

「A1・A2・B1・B2」

「A・B」

など、サイトによって違う区分が出てくることがあります。

ここは療育手帳を理解するうえで、とても重要なポイントです。

療育手帳制度は、国の「療育手帳制度について」という通知などをもとに各自治体で運用されています。

国の制度要綱では障害の程度を重度(A)とその他(B)に区分していますが、厚生労働省も、交付する自治体によって独自に区分を細分化している場合があると説明しています。

そのため、

  • 手帳の名称
  • 障害程度の区分
  • 判定基準
  • 申請から判定までの流れ
  • 必要な書類
  • 再判定の時期

などが、すべて全国で統一されているわけではありません。

療育手帳を持つ目的は「必要な支援につながりやすくすること」

「療育手帳」と聞くと、どうしても「障害の程度を証明するもの」という印象が強いかもしれません。

もちろん、障害の状態を確認して交付される手帳ではあります。

しかし、療育手帳制度そのものの目的は、知的障害のある人が一貫した指導・相談を受けやすくするとともに、さまざまな援助措置を受けやすくすることにあります。

実際に療育手帳を取得すると、条件に応じて福祉サービスや税制上の制度、交通機関・公共施設などの割引といった支援につながる場合があります。

ただし、療育手帳を持っているだけですべての支援を利用できるわけではありません。

障害の程度や所得、年齢、自治体、サービスを提供する事業者などによって条件は異なります。

つまり療育手帳は、

「これを持てば○○が必ず受けられる」という万能なカードではなく、必要な支援につながるための一つの入口

と考えると分かりやすいでしょう。

では、実際に療育手帳を取得できるのはどのような人なのでしょうか。

療育手帳の対象者は?診断名だけで決まるわけではない

療育手帳の対象となるのは、基本的に児童相談所または知的障害者更生相談所などで、知的障害があると判定された人です。

厚生労働省も、療育手帳について「児童相談所又は知的障害者更生相談所において知的障害であると判定された方に対して交付される手帳」と説明しています。

ここで注意したいのが、

「○○という診断を受けた=療育手帳の対象者」ではない

ということです。

子どもの診断名だけを見るのではなく、知的発達や日常生活の状況などを確認したうえで判定されます。

ダウン症なら必ず療育手帳を取得できる?

たとえば、私たちの息子Aoにはダウン症があります。

ダウン症のある子どもには知的発達の遅れがみられることがありますが、ダウン症という診断名だけを理由に療育手帳の区分が決まるわけではありません。

実際に療育手帳を取得する際には、児童相談所などで発達の状態について判定を受けます。

Aoの場合も、1歳6ヶ月のときに児童相談所で発達検査を受けました。

心理士さんがAoの反応や身体の動きを確認し、私たち親にも、

「首はすわっていますか?」

「腰はすわっていますか?」

「発語はありますか?」

「離乳食はどのくらい進んでいますか?」

といった普段の生活について質問がありました。

その結果、知的発達についてはA2(重度)相当と説明され、さらに身体障害者手帳1級も取得していたことから、私たちの地域の基準では最終的にA1(最重度)の判定となりました。

この発達検査で実際に何をしたのかについては、別の記事で詳しくまとめています。

[療育手帳の発達検査は何をする?1歳6ヶ月でKIDSを受けA1判定になった体験談]

※療育手帳の判定区分や基準は自治体によって異なります。Aoの判定は、あくまで私たちの地域で実際に受けた判定の一例です。

発達障害があれば療育手帳の対象になる?

ここも混同しやすいところです。

自閉スペクトラム症(ASD)やADHDなどの発達障害の診断があることだけをもって、全国一律に療育手帳の対象になるとはいえません。

療育手帳は基本的に「知的障害があると判定された人」を対象とする制度だからです。

そのため、発達障害があり、あわせて知的障害があると判定された場合には療育手帳の対象となる可能性があります。

一方、知的障害を伴わない発達障害の場合の療育手帳の取り扱いについては自治体による違いもあるため、「発達障害があれば取れる」「知的障害がなければ絶対に取れない」と全国共通のルールのように断定するのは適切ではありません。

対象になるか分からない場合は、お住まいの自治体の障害福祉担当窓口や児童相談所などへ相談するのが確実です。

療育手帳は何歳から取得できる?

子どもの療育手帳を検討している保護者にとって、

「何歳から申請できるの?」

も気になるところだと思います。

しかし、ここも全国一律に「○歳になったら申請できる」とは言い切れません。

自治体によって判定の運用などが異なるため、実際にいつから申請・判定を受けられるのかは、お住まいの地域で確認する必要があります。

私たちの地域では、Aoについて1歳6ヶ月から判定を受けられると案内されました。

さらに予約は3ヶ月前から受け付けていたため、私たちはAoが1歳3ヶ月になった日に予約を入れ、1歳6ヶ月で実際の判定を受けました。

ただし、これはあくまで我が家が住んでいる地域でのケースです。

「療育手帳は1歳6ヶ月から」と全国共通のルールではありません。

対象になるか迷ったら、まず相談してみる

療育手帳について初めて調べている段階では、

「うちの子は対象になるのかな?」

「まだ小さいから早い?」

「この発達状態で相談してもいいの?」

と迷うこともあると思います。

その時点で、自分たちだけで「対象になる・ならない」を判断する必要はありません。

自治体の障害福祉担当窓口や児童相談所などに相談すれば、申請できる時期や必要な手続きについて案内してもらえます。

私たちも、最初から制度のすべてを理解していたわけではありません。

ただ、Aoにはこれからさまざまな支援が必要になる可能性が高いと考えていたため、「利用できる支援の選択肢は、できるだけ持っておきたい」という思いで療育手帳の取得へ動きました。

療育手帳を申請してから交付されるまでの流れ

療育手帳を取得したいと思っても、

「まず市役所に行けばいいの?」

「児童相談所には自分で予約する?」

「発達検査を受けたら、その日に手帳をもらえるの?」

など、申請から交付までの流れは分かりにくいですよね。

国の制度上は、申請を受けたあと、児童相談所または知的障害者更生相談所などで判定を行い、その判定結果をもとに手帳の交付が決定されます。

ただし、実際の手続きは自治体によって異なります。

厚生労働省の実態調査でも、先に申請してから判定を受ける地域と、先に判定を行い、交付対象となった人だけが申請する地域があることが確認されています。

そのため、ここでは一般的な流れとして紹介します。

①自治体の窓口などに相談する

まずは、お住まいの自治体の障害福祉担当窓口などに、

「子どもの療育手帳を取得したい」

と相談します。

自治体によっては、ここで申請書の提出や必要書類について案内され、児童相談所での判定へ進みます。

必要な書類や写真の有無、児童相談所への予約方法なども地域によって異なるため、最初に確認しておくと安心です。

厚生労働省も、療育手帳の具体的な手続方法については、住んでいる市町村の担当窓口へ問い合わせるよう案内しています。

②児童相談所などで判定を受ける

子どもの場合は、児童相談所などで療育手帳の判定を受けます。

厚生労働省が行った判定機関への調査では、調査対象となったすべての機関で心理検査と面接が行われており、必要に応じて医師による診察も実施されていました。

また、本人への心理検査だけではなく、保護者や付き添いの人に、

  • 普段の様子
  • 成育歴
  • 日常生活でできること
  • 生活能力

などについて聞き取りが行われることがあります。

つまり、療育手帳の判定は、子どもに問題を解かせて「何問できたから○ランク」と決めるだけのものではありません。

私たちがAoの判定を受けたときも、心理士さんがAoの反応や身体の状態を確認しながら、親である私たちへの聞き取りが行われました。

実際にどんなことを聞かれたのか、どんな発達検査を受けたのかについては、こちらの記事で詳しくまとめています。

③検査や聞き取りをもとに判定される

心理検査や聞き取りなどが終わると、その結果をもとに知的障害の有無や程度について判定されます。

厚生労働省の指針では、療育手帳の判定は原則として医師や児童心理司などのチームで行い、障害の有無や程度などを検討するとされています。

また、日常生活能力についても、身体的・精神的能力や社会的な適応の程度などを考慮して判断するよう示されています。

そのため、よくある、

「IQが○○だったから、必ずA1になる」

といった単純なものではありません。(厚生労働省「児童相談所運営指針」)

さらにA1・A2・B1・B2など、実際に使われる判定区分や基準にも自治体による違いがあります。

④判定結果をもとに療育手帳が交付される

判定の結果、療育手帳の対象となれば、交付の手続きへ進みます。

国の制度要綱では、児童相談所または知的障害者更生相談所の判定結果に基づいて手帳の交付を決定し、申請者へ交付する流れが示されています。

ただし、

「発達検査を受けた日に、その場で療育手帳を受け取れる」

とは限りません。

判定機関と自治体の役割分担にも地域差があり、市区町村が申請受付と交付を担当するケースや、判定機関が手帳作成・交付まで担当するケースなどが確認されています。

そのため、申請から実際に手帳を受け取るまでにどのくらいかかるのかについても、申請時に確認しておくといいでしょう。

ここまでを大まかにまとめると、

STEP
自治体などへ相談・申請

STEP
児童相談所などで発達検査・面接

STEP
知的障害の有無や程度を判定

STEP
交付決定

STEP
療育手帳を受け取る

というのが基本的なイメージです。

ただし、申請と判定の順番を含め、実際の手続きは自治体によって異なります。

まずはお住まいの自治体へ確認する。

これが、療育手帳の申請を考えたときの最初の一歩になります。

では、判定を受けたあとに示される「A」「B」「A1」「A2」などは、何を意味しているのでしょうか。

療育手帳の判定基準とは?A・BやA1・A2の違い

療育手帳について調べていると、

「A1だった」

「A2と判定された」

「うちの地域ではB1だった」

といった情報を目にすることがあります。

しかし、ここで注意したいのが、A1・A2・B1・B2という区分が全国共通ではないことです。

厚生労働省の療育手帳制度要綱では、障害の程度について大きく「重度(A)」と「その他(B)」に区分しています。一方、実際には自治体が独自にA1・A2・B1・B2などへ細分化している場合があります。

そのため、インターネットで見つけた他の自治体の基準を、そのまま自分の地域に当てはめることはできません。

療育手帳はIQだけで判定されるわけではない

療育手帳の判定について、

「IQが何点ならAですか?」

と気になる方もいると思います。

知能指数や発達指数は判定における重要な材料の一つですが、IQ・DQの数値だけですべての判定が機械的に決まるとは限りません。

厚生労働省が行った実態調査でも、療育手帳の判定には知能検査・発達検査に加えて、適応行動や日常生活能力など、さまざまな情報が利用されていることが報告されています。

特に子どもの場合、

  • 身の回りのことがどの程度できるか
  • 言葉をどの程度理解・表出できるか
  • 人との関わりはどうか
  • 普段の生活でどの程度支援が必要か

なども確認されることがあります。

ですから、

「検査当日にできなかったから重い判定になった」

と単純に考える必要はありません。

普段の生活について保護者から聞き取りが行われるのも、その子の状態を総合的に確認するためです。

A1・A2・B1・B2は何が違う?

自治体によっては、療育手帳の障害程度を、

A1・A2・B1・B2

などに分けています。

一般的にはA側がより障害の程度が重く、B側が比較的軽い区分として設定されていますが、それぞれを分ける具体的な基準は自治体によって異なります。

たとえば、

「A1=IQ○以下」

と全国共通の基準が存在するわけではありません。

身体障害との重複を判定に反映する自治体もありますし、日常生活能力などをどのように評価するかにも違いがあります。

そのため、自分の子どもがどの区分になるのかを知りたい場合は、お住まいの自治体が公表している療育手帳の判定基準を確認するのが最も確実です。

Aoは知的発達A2相当でも最終的にA1と判定された

我が家の場合は、この「数値だけでは分かりにくい判定」を実際に経験しました。

Aoが1歳6ヶ月で判定を受けた際、知的発達についてはA2(重度)相当と説明されました。

ところが、交付された療育手帳の区分は、

A1(最重度)

でした。

Aoには重い身体障害もあり、身体障害者手帳1級を取得しています。

私たちの地域では、その身体障害の状態も判定に反映されたため、

知的発達:A2(重度)相当
 +
身体障害者手帳:1級
 ↓
療育手帳:A1(最重度)

という結果になりました。

最初に「知的発達はA2相当」と聞いていたため、「それなのになぜ療育手帳はA1なの?」と思う方もいるかもしれません。

このときの発達検査の内容や、心理士さんから実際にどのような説明を受けたのかについては、別の記事で詳しくまとめています。

なお、これはあくまで私たちの地域でAoが実際に受けた判定です。

他の自治体でも「身体障害者手帳1級+知的障害=必ずA1」になるという意味ではありません。

判定区分は「子どもの将来」を決めるものではない

そして、保護者としてもう一つ知っておきたいのが、

療育手帳の判定は、その子の将来を決めるものではない

ということです。

「A1」「重度」「最重度」

こうした言葉を初めて目にすると、やはり重く感じます。

私たちも、Aoの障害が重いこと自体は以前から分かっていました。

それでも、実際に「A1(最重度)」という結果を示されたときには、思うところがありました。

ただ、療育手帳には再判定が行われる場合があります。

子どもの発達や生活の状態は変化することがありますし、今示された区分だけを見て、その子の将来まで決まったと考える必要はありません。

療育手帳の区分は、その時点で必要な支援へつなげるための一つの指標として受け止めるのがいいのではないかと思います。

では、療育手帳を取得すると、実際にどのような支援につながるのでしょうか。

療育手帳を取得するとどんな支援を受けられる?

療育手帳を取得するか考えるとき、

「手帳を持つと、具体的に何が変わるの?」

という点は、保護者にとって特に気になるところだと思います。

厚生労働省は、療育手帳を持つ人について、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのほか、自治体や民間事業者が提供するサービスを受けられると説明しています。

実際に活用されている制度は幅広く、厚生労働省の調査では、税の控除・免除、公共交通機関の割引、高速道路や公共施設等の割引、医療費助成、手当、障害福祉サービスなどが挙げられています。

ただし、ここでも大切なのが、

「療育手帳を持っていれば、すべての支援を必ず受けられるわけではない」

という点です。

手帳の区分、年齢、所得、自治体、サービスを提供する事業者などによって利用条件は異なります。

税金の障害者控除を受けられる場合がある

保護者にとって影響が大きい制度の一つが障害者控除です。

所得税では、納税者本人だけでなく、同一生計配偶者や扶養親族が所得税法上の障害者に該当する場合にも障害者控除を受けられます。

さらに、16歳未満の子どもは扶養控除の対象外ですが、障害者控除については対象になり得ます。

国税庁によると、所得税の控除額は、

  • 障害者:27万円
  • 特別障害者:40万円
  • 同居特別障害者:75万円

です。(国税庁|障害者控除)

また、児童相談所などで重度の知的障害者と判定された人は、税法上の「特別障害者」に該当します。

ここは**「療育手帳を取得したら親にどんなメリットがある?」**という検索意図がかなり深いテーマなので、このピラー記事では概要にとどめます。

我が家で実際に確認した制度や、親の税金への影響についてはこちらの記事で詳しくまとめています。

[療育手帳のメリット7選!親が受けられる制度やデメリットも解説]

交通機関や公共施設などの割引を受けられることがある

療育手帳は、交通機関や公共施設などで提示することで割引を受けられる場合があります。

厚生労働省の実態調査でも、療育手帳の活用先として公共交通機関の旅客運賃の割引が62.8%、高速道路や公共施設などの割引サービスが59.9%と報告されています。

ほかにも、自治体や民間事業者によって、

  • 公共施設の利用料減免
  • 高速道路料金の割引
  • タクシー券などの助成
  • 民間施設・サービスの割引

などが設けられている場合があります。

ただし、療育手帳を見せれば全国どこでも同じ割引になるわけではありません。

対象となる手帳区分や本人・介護者の取り扱いなど、利用するサービスごとに条件を確認する必要があります。

障害福祉サービスや自治体独自の支援につながることもある

療育手帳は、障害福祉サービスなどにつながる際にも活用されます。

厚生労働省も、療育手帳を持つ人は障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスや、自治体・民間事業者が提供するサービスを受けることができると案内しています。

一方で、ここは少し注意が必要です。

「療育手帳がなければ障害福祉サービスを一切利用できない」という意味ではありません。

利用する制度ごとに対象要件が異なるため、療育手帳の有無だけで利用できる・できないを判断しないようにしましょう。

また、自治体によっては医療費助成や手当など独自の支援制度が用意されていることもあります。

療育手帳を取得したら、手帳を受け取って終わりにするのではなく、

「この区分で利用できる制度はありますか?」

と自治体の窓口で一度確認してみることをおすすめします。

我が家も、Aoの療育手帳を取得した理由は、割引を受けることそのものではありませんでした。

必要になったときに使える支援の選択肢を、一つでも多く持っておきたかったからです。

知らなかったために、本来利用できた支援を利用できなかった。

私たちは、それをできるだけ避けたいと思っています。

療育手帳は、まさにそのための「支援につながる入口の一つ」だと感じています。

では、一度療育手帳を取得したら、最初に決まったA1・A2などの判定がずっと続くのでしょうか。

療育手帳は一度取得したらずっと同じ?再判定について

療育手帳を初めて取得するとき、

「一度A1と判定されたら、ずっとA1のままなの?」

と気になる方もいると思います。

特に幼い子どもの場合、「今の発達検査の結果で、この先のことまで決まってしまうのでは」と不安になることもあるかもしれません。

しかし、療育手帳では必要に応じて再判定が行われます。

国の通知では、手帳交付後も障害の程度を確認するため、原則として2年後に再判定を行うこととされています。一方で、年齢や障害の程度などを考慮して、再判定の時期を別に定めることもできるとされています。(厚生労働省「児童相談所運営指針」)

実際の再判定時期や手続きについては、自治体によって異なります。

再判定の時期は子どもや自治体によって異なる

療育手帳を受け取ると、次回の判定時期が記載されたり、交付時に案内されたりする場合があります。

ただし、

「療育手帳は必ず2年ごとに更新する」

と全国共通のルールとして覚えるのは適切ではありません。

厚生労働省の実態調査でも、年齢や障害の状態などによって再判定の時期を設定している自治体が確認されています。

特に子どもは、成長に伴って発達や日常生活の状態が変化することがあります。

そのため、一定期間が経過したところで再び状態を確認し、その時点での状況に応じて判定が行われます。

実際の再判定時期については、手帳に記載されている情報や自治体からの案内を確認しておきましょう。

Aoは1年後に再判定すると説明された

我が家の場合、Aoが1歳6ヶ月で初めて療育手帳の判定を受けたとき、心理士さんから、

「今の状態がずっと続くわけではありません。また1年後に再判定します」

という趣旨の説明がありました。

Aoは当時、てんかんの影響もあり、発達面で非常に厳しい状態にありました。

検査後に心理士さんが慎重に説明してくれたので、私は一瞬、

「もしかして、手帳が交付されないくらいの判定なのかな?」

と思ったほどです。

しかし、実際の結果はA1(最重度)でした。

今の判定区分が子どもの将来を決めるわけではない

「重度」

「最重度」

「A1」

こうした言葉を自分の子どもの判定として目にすると、どうしても将来まで結びつけて考えてしまうかもしれません。

私たちも、Aoの障害が重いことは以前から理解していました。

それでも、実際にA1という判定を示されたときには、やはり重く感じるものがありました。

ただ、療育手帳の判定区分は、その時点で確認された子どもの状態を制度上の基準に当てはめたものです。

「A1だから、この子は将来○○になる」

というものではありません。

また、療育手帳を取得しただけで、進学先や就労先が自動的に決まるわけでもありません。

療育手帳は、子どもの可能性に線を引くためのものではなく、その時点で必要な支援につながるために活用するものと考えるといいのではないでしょうか。

そして再判定を含め、療育手帳の具体的な運用は自治体によって異なります。

「次はいつ判定を受けるのか」

「どこで手続きをするのか」

「どんな検査を受けるのか」

分からないことがあれば、手帳を交付した自治体や児童相談所などに確認しておくと安心です。

療育手帳を取得するか迷っている保護者へ

療育手帳について調べている方の中には、

「取得できるなら、すぐ申請しよう」

と考えている方もいれば、

「本当に取得していいのだろうか」

と迷っている方もいると思います。

「障害を認めてしまうようで怖い」

「手帳を取ったことで、この子の将来に影響しないだろうか」

そんな気持ちになることもあるかもしれません。

我が家の場合、Aoの療育手帳を取得することについて大きな迷いはありませんでした。

理由は、とてもシンプルです。

Aoにつながる支援の手を、一つでも増やしたかったからです。

我が家は「利用できる支援の選択肢を増やしたい」と考えた

Aoにはダウン症があり、身体障害者手帳も取得しています。

これから成長していく中で、福祉や医療、教育など、さまざまな支援が必要になる可能性があります。

だから私たちは、

使える制度があるなら、できるだけ知っておきたい。

そして、

必要になったときに使える選択肢を持っておきたい。

と考えました。

私たちが一番避けたいのは、

「実は利用できる制度があったのに、知らなかった」

「申請していなかったから利用できなかった」

ということです。

すべての制度を必ず利用する必要はありません。

必要にならなければ使わなくてもいい。

でも、必要になったときに選べる状態にはしておきたい。

療育手帳も、その選択肢の一つでした。

療育手帳は「障害を認めるための手帳」ではないと思っている

親にとって、子どもの障害について公的な判定を受けることには、少なからず重さがあると思います。

我が家も実際に、

「A1(最重度)」

という結果を目の前にしました。

文字として示されると、やはり軽いものではありません。

でも、手帳を取得したからAoの障害が重くなったわけではありません。

反対に、手帳を取得しなければ障害がなくなるわけでもありません。

だから私たちは、療育手帳を、

「障害を認めるための手帳」ではなく、「Aoにつながる支援の手を一つでも増やすためのもの」

と考えています。

この考え方は、実際に療育手帳を取得した今も変わっていません。

取得する・しないに一つの正解があるわけではない

もちろん、これはあくまで我が家の考え方です。

子どもの発達状況も、家庭の環境も、必要としている支援も、それぞれ違います。

だから、

「対象になるなら絶対に療育手帳を取得した方がいい」

と伝えたいわけではありません。

まずは制度を知る。

対象になる可能性があるなら相談してみる。

どんな支援につながるのか確認する。

そのうえで、目の前にいる子どもにとって必要かどうかを考えればいいのだと思います。

療育手帳について調べ始めたばかりなら、最初からすべてを理解する必要もありません。

この記事で紹介してきたように、

対象者を知る
↓
自治体へ相談する
↓
必要なら発達検査・判定を受ける
↓
取得後に利用できる支援を確認する

という順番で、一つずつ確認していけば大丈夫です。

そして、発達検査の内容や判定基準、取得後に利用できる制度など、もっと詳しく知りたいことが出てきたら、このブログの療育手帳関連記事も参考にしてもらえたらと思います。

療育手帳は、子どもの未来を決めるものではありません。

その子に必要な支援へつながるために使える、一つの選択肢です。

手帳を取得するかどうかではなく、

「目の前の子どもにとって、何が一番いいのか」

我が家も、これから先もその基準で考えていきたいと思っています。

まとめ|療育手帳とは必要な支援につながるための手帳

この記事では、療育手帳とはどのような制度なのか、対象者や申請方法、判定基準、取得後に受けられる主な支援まで解説してきました。

最後に、大切なポイントをまとめます。

  • 療育手帳は、児童相談所などで知的障害があると判定された人に交付される
  • 知的障害のある人が相談や各種支援を受けやすくすることを目的としている
  • 診断名だけで自動的に交付されるものではない
  • 申請後などに児童相談所等で発達検査や聞き取りを受け、判定が行われる
  • 国の制度では障害程度を重度(A)とその他(B)に分けている
  • A1・A2・B1・B2など、さらに細かな区分を設けている自治体もある
  • 判定では知能・発達検査だけでなく、日常生活の状況なども確認される
  • 取得すると、条件に応じて福祉・税・交通機関などのさまざまな支援につながる
  • 交付後も必要に応じて再判定が行われる
  • 判定基準や申請方法、再判定時期などは自治体によって異なる

療育手帳について初めて調べると、

「A1って何?」

「うちの子は対象になる?」

「取得すると将来に影響する?」

と、分からないことが次々に出てくると思います。

我が家も、Aoが1歳6ヶ月のときに実際に発達検査を受け、療育手帳A1(最重度)の判定を受けました。

だからこそ、療育手帳を単に**「障害の重さを示す手帳」**として考える必要はないと思っています。

私たちにとって療育手帳は、

「障害を認めるための手帳」ではなく、「Aoにつながる支援の手を一つでも増やすためのもの」

です。

もちろん、療育手帳を取得するかどうかは、それぞれの子どもや家庭によって答えが違います。

まずは制度を知り、どのような支援につながるのかを確認したうえで、目の前の子どもにとって必要かどうかを考えてみてください。

また、療育手帳は自治体によって判定基準や区分、手続きなどが異なります。

実際に取得を検討するときは、インターネット上の体験談だけで判断せず、お住まいの自治体の担当窓口や児童相談所などで最新情報を確認することをおすすめします。

このブログでは、我が家が実際に療育手帳を取得した経験をもとに、発達検査で何をしたのか、なぜAoがA1になったのか、取得後に利用できる制度なども詳しく紹介しています。

「療育手帳についてもっと知りたい」と思ったときに、必要な記事から読み進めてもらえたらと思います。

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