意趣返しとは何か、差別との違いはどこにあるのかをわかりやすく解説します。
ニュースで「意趣返し」という言葉を見かけて、「どういう意味だろう?」「ポジティブな場面でも使えるの?」と気になった人もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、意趣返しは「恨みを返すこと」「仕返し」「復讐」を意味する言葉で、恩返しのようなポジティブな意味では使いません。
ただし、スポーツなどで過去の敗北を晴らした場面が「意趣返し」と表現され、結果として前向きな印象を受けるケースはあります。
この記事では、意趣返しの意味や読み方、ポジティブな意味で使えるのか、仕返しとの違い、正しい例文までわかりやすく整理します。
意趣返しとは?意味と読み方をわかりやすく解説

意趣返しとは?意味と読み方をわかりやすく解説していきます。
意趣返しの基本的な意味
「意趣返し」は、恨みや不満を抱いた相手に対してやり返すことを意味する言葉です。
デジタル大辞泉では「恨みを返すこと。しかえし。復讐」と説明されています。
つまり、単に相手へ何かを「返す」のではなく、過去にされたことへの恨みや不満が背景にあるのがポイントです。
たとえば、以前ひどく批判された相手に対して、別の機会にやり返すような場面で「意趣返し」が使われます。
意趣返しの読み方は「いしゅがえし」
「意趣返し」は、「いしゅがえし」と読みます。
「意趣(いしゅ)」という言葉には複数の意味がありますが、その一つに「恨みを含むこと」「人を恨む気持ち」という意味があります。
そのため「意趣返し」は、相手から受けたことへの恨みや不満を返す、つまり「仕返しをする」という意味で使われています。
なお、「返し」という言葉が入っていても、親切にしてもらった相手へ感謝を返す「恩返し」とは意味が異なります。
この違いについては、次で詳しく見ていきます。
意趣返しが持つニュアンス
意趣返しには、単なる「仕返し」よりも少し重たい響きがあります。
軽い冗談や遊び感覚ではあまり使われません。
背景には、くすぶっていた感情やプライドが関係していることが多いのです。
たとえば、長年のライバル関係の中で勝ち返すような場面では、意趣返しという表現がぴったりですね。
そのため、ポジティブな成功よりも、対立の構図がある場面で使われやすい言葉です。
使うときは、少し強めの意味を含むことを意識しておきたいところですね。
意趣返しはポジティブな意味でも使える?
結論からいうと、「意趣返し」を恩返しのようなポジティブな意味で使うのは適切ではありません。
「意趣返し」には、相手への恨みや不満を晴らすためにやり返すという意味があります。
そのため、「良いことをしてもらったから、自分も良いことを返す」という意味では使いません。
「恩返し」のようなポジティブな意味では使わない
「意趣返し」には「返し」という言葉が入っているため、「相手から受けたものを返す」という意味だけを見ると、恩返しと混同してしまうかもしれません。
たとえば、
親切にしてもらったので、今度は私が意趣返しをした。
という使い方は適切ではありません。
相手への感謝や好意に報いたいのであれば、
親切にしてもらったので、今度は私が恩返しをした。
とするのが自然です。
意趣返しで返すのは「恩」ではなく、過去に受けたことへの恨みや不満と考えると、違いがわかりやすいでしょう。
スポーツなどで前向きに見える使われ方はある
一方で、「意趣返し」が前向きな出来事を伝える文章の中で使われることはあります。
たとえば、
昨年敗れたライバルに今年は勝利し、見事な意趣返しとなった。
という表現です。
この場合、ライバルに勝ったこと自体はポジティブな出来事です。
しかし、「意趣返し」が単に「勝利」や「成功」を意味しているわけではありません。
以前の敗北による悔しさを晴らした、という背景があるからこそ「意趣返し」と表現できます。
つまり、
- 「意趣返し」自体がポジティブな意味になるわけではない
- 過去の悔しさを晴らした結果が、前向きな出来事として語られることはある
この2つを分けて考えるのがポイントです。
「ポジティブな意味で相手に何かを返す」と伝えたいのであれば、「恩返し」など、文脈に合った別の言葉を使いましょう。
意趣返しの誤用とは?間違いやすい使い方
「意趣返し」は日常的に頻繁に使う言葉ではないため、意味を取り違えて使ってしまうことがあります。
特に注意したいのが、「恩返し」や「皮肉」と同じ意味だと考えてしまうケースです。
「恩返し」の意味で使うのは誤用
前述したとおり、「意趣返し」を感謝や好意を返す意味で使うのは適切ではありません。
たとえば、
× お世話になった先生に、いつか意趣返しがしたい。
感謝を伝える場面なら、
○ お世話になった先生に、いつか恩返しがしたい。
とするのが自然です。
「意趣返し」と「恩返し」はどちらも相手に何かを「返す」表現ですが、恨みや不満を返すのか、受けた恩に報いるのかという大きな違いがあります。
「皮肉」「嫌味」と同じ意味ではない
「意趣返し」を「皮肉」や「嫌味」の意味だと思って使うのも注意が必要です。
皮肉や嫌味を言うこと自体が「意趣返し」なのではありません。
ただし、以前言われた嫌味への仕返しとして、相手に嫌味を言い返したのであれば、その行為を「意趣返し」と表現できる場合があります。
つまり、「何を言ったか」よりも、過去の恨みや不満を晴らすためのやり返しなのかがポイントです。
「意趣返し=皮肉」ではなく、「皮肉を使って意趣返しをすることはある」と区別するとわかりやすいでしょう。
意趣返しと仕返しの違いは?
「意趣返し」と「仕返し」はどちらも、相手からされたことに対してやり返すという点ではよく似た言葉です。
実際に「意趣返し」の意味として「仕返し」が使われることもあります。
ただし、使われ方には少し違いがあります。
| 言葉 | 意味・ニュアンス |
|---|---|
| 意趣返し | 過去の恨みや不満を背景に相手へやり返すこと |
| 仕返し | 相手からされたことに対してやり返すことを広く表す |
大きな違いは、「意趣返し」では恨みや不満といった感情が背景にあることです。
「仕返し」は日常的なやり返しにも使える
「仕返し」は、「意趣返し」よりも幅広い場面で使われます。
たとえば、
弟にいたずらをされたので、仕返しにこちらもいたずらをした。
というような日常的な場面でも自然です。
一方、「意趣返し」は、過去の恨みや不満、因縁などを背景としたやり返しを表現するときに使われます。
以前ひどく批判された相手に対し、今回の発言は意趣返しとも受け取れるものだった。
このように、単純な「やり返し」なら仕返し、過去の恨みや不満を晴らすというニュアンスまで含めたい場合は意趣返しと考えると、使い分けやすいでしょう。
「報復」「復讐」とも意味は近い
「意趣返し」には、「報復」や「復讐」といった似た言葉もあります。
- 報復:相手から受けた行為に対してやり返すこと
- 復讐:恨みを晴らすために仕返しをすること
- 意趣返し:恨みや不満を背景として相手にやり返すこと
意味が重なる部分はありますが、日常会話では「仕返し」が比較的使いやすく、「意趣返し」は過去の因縁や恨みを意識させる表現として使われます。
意趣返しの使い方と例文
「意趣返し」は、過去に受けた仕打ちや批判、敗北などに対して、やり返したり悔しさを晴らしたりする場面で使われます。
単に「何かを返した」というだけではなく、過去の出来事に対する恨みや不満、悔しさが背景にあるかを考えると使い方を判断しやすくなります。
具体的な例文を場面別に見てみましょう。
スポーツや勝負で使う例文
昨年の決勝で敗れた相手を今年は破り、見事に意趣返しを果たした。
過去に負けた相手へ勝つことで、そのときの悔しさを晴らした場面です。
スポーツでは「雪辱を果たす」に近いニュアンスで使われることがあります。
ただし、単に試合に勝っただけではなく、以前の敗北という背景があることがポイントです。
過去の批判や対立に対して使う例文
以前、自分の企画を厳しく批判した相手に対する意趣返しのような発言だった。
過去に受けた批判や扱いへの不満を背景として、相手へやり返すような言動を表しています。
また、
今回の対応は、以前の対立に対する意趣返しではないかと受け止められた。
のように、本人が「仕返しをした」と明言していなくても、周囲からそのように見える行動を表現するときにも使われます。
「恩返し」の意味で使うのは間違い
一方、次のような使い方は適切ではありません。
× 困っているときに助けてもらったので、いつか意趣返しをしたい。
この場合、相手に返したいのは「恨み」ではなく「恩」です。
そのため、
○ 困っているときに助けてもらったので、いつか恩返しをしたい。
とするのが自然です。
「意趣返し」を使えるか迷ったときは、「過去にされたことへの恨み・不満・悔しさを晴らすという背景があるか」を考えてみると判断しやすいでしょう。
意趣返しの類語・言い換え
「意趣返し」には、「仕返し」「報復」「復讐」などの似た意味を持つ言葉があります。
それぞれ意味が重なる部分はありますが、使われる場面やニュアンスには違いがあります。
| 言葉 | 意味・ニュアンス |
|---|---|
| 仕返し | されたことに対してやり返すことを広く表す |
| 報復 | 相手から受けた行為に対抗してやり返すこと |
| 復讐 | 恨みを晴らすために仕返しをすること |
| 雪辱 | 試合などで以前の敗北や失敗による悔しさを晴らすこと |
特に日常的な表現へ言い換えるなら、「仕返し」が意味を伝えやすいでしょう。
一方、スポーツなどで以前の敗北を晴らしたことを前向きに表現したい場合は、「意趣返し」よりも**「雪辱を果たす」**のほうが文脈に合うことがあります。
「恩返し」は意味が大きく異なる
「意趣返し」と混同しやすい言葉として、「恩返し」も覚えておくとわかりやすいでしょう。
- 意趣返し:恨みや不満を背景にやり返す
- 恩返し:受けた恩に報いる
どちらにも「返し」がつきますが、意味は大きく異なります。
感謝や好意を返すようなポジティブな意味で表現したい場合は、「意趣返し」ではなく「恩返し」など、文脈に合った言葉を選びましょう。
意趣返しと差別は別の意味
「意趣返し」と「差別」は、似た意味の言葉ではありません。
意趣返しは、過去の恨みや不満を背景として相手にやり返すことを表します。
一方、差別は、人種や性別などの属性を理由として不当に扱うことなどを指します。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 意趣返し | 恨みや不満を背景として相手にやり返すこと |
| 差別 | 特定の属性などを理由として不当に扱うこと |
つまり、ある行為が「意趣返し」であることと、「差別」にあたるかどうかは別の問題です。
たとえば、過去の恨みを晴らす目的で相手に不利益な扱いをしたとしても、「意趣返しだから差別」「意趣返しだから差別ではない」と言葉の意味だけで判断することはできません。
「意趣返し」は行為の背景にある恨みや仕返しの意味を表す言葉であり、「差別」とは分けて考える必要があります。
まとめ|意趣返しはポジティブな意味の「恩返し」ではない
この記事では、「意趣返し」の意味や読み方、ポジティブな意味で使えるのか、仕返しとの違いや例文について解説しました。
最後にポイントをまとめます。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 読み方 | いしゅがえし |
| 意味 | 恨みを返すこと・仕返し・復讐 |
| ポジティブな意味 | 感謝や恩を返す意味では使わない |
| スポーツなど | 過去の敗北や悔しさを晴らした場面で使われることがある |
| 誤用 | 「恩返し」の意味で使うのは適切ではない |
| 仕返しとの違い | 意趣返しは恨みや不満を背景とした表現 |
「意趣返し」は、何か良いことを返すのではなく、**過去の恨みや不満に対する「やり返し」**を表す言葉です。
スポーツなどでは、過去の敗北を晴らすような前向きな出来事を伝える文章で使われることもあります。
ただし、意趣返しそのものが「恩返し」のようなポジティブな意味になるわけではありません。
「意趣返し」を使えるか迷ったときは、**「過去の恨み・不満・悔しさを晴らすという背景があるか」**を考えると判断しやすいでしょう。
参考:コトバンク「意趣返し」
参考:外務省|人種差別撤廃条約

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