「ダウン症の子は、小学校に入ったら支援学校に通うんだろうな」
息子のAoが生まれてから、私はなんとなくそう思っていました。
Aoにはダウン症だけでなく、PVLや超低出生体重、医療的ケアなど、いくつもの課題があります。
だからなおさら、「Aoは将来、特別支援学校に行くことになるんだろう」と考えていたんです。
でも、ある日偶然会った特別支援学校の先生に「ダウン症の子って、どんな状態だったら支援学校に行くんですか?」と聞いたことで、私の考えは大きく変わりました。
実際には、ダウン症だから支援学校と決まっているわけではありません。
地域の小学校の普通級(通常学級)、支援級(特別支援学級)、特別支援学校などの学びの場があり、子どもの状態や必要な支援などを踏まえて就学先を考えていきます。
では、実際にはどうやって決まるのでしょうか。
この記事では、特別支援学校の先生に直接聞いたときの体験談を交えながら、ダウン症のある子の小学校選びや、普通級・支援級・支援学校の違い、就学先が決まる仕組みについて、文部科学省の情報も確認しながらまとめます。
まだ就学なんてずっと先。
そう思っているご家庭にも、「こんな選択肢があるんだ」と知るきっかけになればうれしいです。
ダウン症の子は小学校で普通級・支援級・支援学校のどこに通う?
「ダウン症のある子は、小学校に入るとき支援学校に行くのかな?」
私自身、息子のAoが生まれてから、なんとなくそう思っていました。
ところが実際には、ダウン症だから特別支援学校に進学すると決まっているわけではありません。
ダウン症のある子にも、地域の小学校の通常学級(いわゆる普通級)や特別支援学級(支援級)、特別支援学校など、いくつかの学びの場があります。(日本ダウン症協会「ダウン症の方(学齢期)」)
そして大切なのは、「ダウン症だからここ」と障害名だけで就学先を決めるのではなく、その子の状態や必要な支援などを踏まえて考えていくことです。
ダウン症だから「支援学校」と決まっているわけではない
私が最初に勘違いしていたのが、この部分です。
Aoにはダウン症があります。
そのため、
「小学校に上がるときは、特別支援学校に行くことになるんだろうな」
と、かなり漠然と考えていました。
しかし、文部科学省が示している現在の就学の考え方では、障害のある子どもの就学先を障害名だけで機械的に決めるわけではありません。(文部科学省「障害のある子供の就学先決定について」)
障害の状態だけでなく、
- 必要な教育的支援
- 本人・保護者の意見
- 教育や医学など専門家の意見
- 学校や地域で提供できる支援
- その他の事情
などを総合的に考えて就学先を検討します。
本人や保護者の意見についても最大限尊重しながら合意形成を行い、最終的には市町村教育委員会が就学先を決定する仕組みになっています。
つまり、
「ダウン症だから支援学校」でもなければ、「親が希望すれば必ず普通級」というわけでもない。
その子にどんな教育環境や支援が必要なのかを、一人ひとり考えていくことになります。
※就学先決定の詳しい流れについては、後ほど私が調べ直した内容も含めて詳しく紹介します。
普通級・支援級・特別支援学校という選択肢がある
ダウン症のある子が小学校へ進む際、主な学びの場として考えられるのが次の3つです。
通常学級(普通級)
地域の小学校で、基本的には同じ学年の子どもたちと一緒に授業を受けます。
必要に応じて、通級による指導など別の支援につながる場合もあります。
特別支援学級(支援級)
地域の小中学校に設置されている、障害のある子どもを対象とした少人数の学級です。
一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導を受けながら、学校行事や授業などで通常学級の子どもたちと交流する機会もあります。
特別支援学校
障害のある子どもに対して、専門性の高い教育や必要な支援を行う学校です。
ただし、「障害がある=誰でも特別支援学校を選択できる」というわけではなく、就学には学校教育法施行令で定められた障害の程度なども関係します。
この3つを並べると、つい、
「普通級に行けるなら普通級の方がいいのかな」
「支援学校の方が手厚いから安心なのかな」
と考えたくなります。
でも、私は今のところ、どこが一番良いという答えはないと思っています。
子どもの発達や体調、必要な支援、本人が安心して過ごせる環境などによって、適した学びの場は違うからです。
そして、このことを私自身が考えるようになったきっかけがありました。
それは、ある日、特別支援学校で働く先生と話していたときのことです。
何気ない立ち話の中で、私はずっと気になっていたことを聞いてみました。
「ダウン症の子って、どんな状態だったら支援学校に行くんですか?」
このとき先生から返ってきた答えが、私がそれまで持っていた「Aoの小学校」へのイメージを大きく変えることになりました。
ダウン症の息子は支援学校だと思っていた
ここまで「ダウン症だから支援学校と決まっているわけではない」と書いてきました。
でも、これは私自身が最初から分かっていたことではありません。
むしろAoが生まれてからしばらくの間、私は、
「Aoは将来、特別支援学校に通うことになるんだろうな」
と、ごく自然に考えていました。
それはダウン症だけが理由ではありません。
Aoはとても小さく生まれ、ダウン症以外にもいくつもの病気や障害、医療的ケアを抱えていたからです。
ダウン症に加えてPVLや超低出生体重などがあるAo
Aoは在胎26週、出生体重432gという、とても小さな体で生まれました。
そしてダウン症だけでなく、PVL(脳室周囲白質軟化症)や心室中隔欠損症などもあります。
PVLとは、簡単にいえば脳の神経線維が多く通っている部分が傷ついた状態です。
運動発達などに影響することがあり、Aoがこれからどのように成長していくのか、当時の私たちには分からないことばかりでした。
さらに当時は在宅酸素による医療的ケアが必要で、聴力についても難聴の可能性を指摘されていました。
一つひとつを見ても心配なのに、それがいくつも重なっています。
だから私は、まだAoが小さいうちから、
「この子はどんな学校に通うんだろう」
と考えることがありました。
もちろん、就学なんてまだずっと先の話です。
これからAoがどこまで成長するのかも分かりません。
それでも親としては、先のことを考えてしまうんですよね。
「この子は支援学校に行くんだろう」と漠然と思っていた
私はある場所で特別支援教育に携わっています。
そのため、特別支援学校がどんな場所なのかまったく知らなかったわけではありません。
一人ひとりの障害や発達に応じた教育を受けられること。
専門的な知識を持った先生たちがいること。
子どもに合わせた環境や支援が用意されていること。
そうした良さも知っていました。
だからこそ、
「Aoには専門的な支援を受けられる特別支援学校が合っているんじゃないか」
と考えていたところがあります。
ただ、今振り返ると、私は肝心なことをよく分かっていませんでした。
「そもそも、どんな子が特別支援学校に行くんだろう?」
ということです。
ダウン症なら支援学校?
それとも、知的障害の程度で決まる?
身体障害があったら?
医療的ケアが必要だったら?
私は特別支援教育に携わっているのに、いざ自分の子どものことになると分からない。
「ダウン症に、さらにどんな障害や病気が加わったら支援学校になるんだろう」
そんな、今考えると少しズレた疑問をずっと持っていました。
そしてある日、その疑問を直接聞けるチャンスが突然やってきます。
以前から知っていた、特別支援学校で働いている先生と街で偶然ばったり会ったのです。
ずっとAoの就学について聞いてみたいと思っていた人でした。
立ち話だったので時間はそれほどありません。
それでも私は、
「これはチャンスだ」
と思いました。
そして、ずっと頭の中にあった疑問を、その先生にかなり単刀直入にぶつけてみることにしました。
特別支援学校の先生に「どんな子が支援学校に行くの?」と聞いてみた
特別支援学校で働く先生と偶然会ったとき、私は以前から気になっていたことを聞いてみました。
Aoのことを考えるようになってから、ずっと頭の片隅にあった疑問です。
「ダウン症+何があったら支援学校?」という僕の疑問
私は先生に、こんなことを聞きました。
「ダウン症の子って、どんな状態だったら支援学校に行くんですか?」
今考えると、かなり大ざっぱな質問です。
当時の私は「ダウン症に加えて、何か一定以上の障害があれば支援学校になる」というようなイメージを持っていたのだと思います。
Aoにはダウン症があります。
さらにPVLがあり、とても小さく生まれ、当時は在宅酸素も必要でした。
だから私の中では、
「Aoの場合は支援学校になる可能性が高いんじゃないか」
と考えていたんですね。
ところが、先生から返ってきた答えは、私が想像していたものとは少し違いました。
先生から返ってきた意外な答え
先生の話を要約すると、
「ダウン症だから支援学校、○○という障害があるから支援学校、という単純な決まり方ではないよ」
ということでした。
そして、就学する時期が近づいてきたら、子どもの状態や必要な支援について相談しながら、その子に合った就学先を考えていくことになると教えてくれました。
私はさらに、
「じゃあ、地域の小学校に入学して、やっぱり難しいとなったら支援学校へ移ることもできるんですか?」
ということも聞きました。
先生からは、実際に就学先を変更するとなれば簡単な話ではないものの、状況に応じて見直されることはある、という趣旨の話を聞きました。
このとき私が驚いたのは、「転校できる・できない」ということ以上に、
Aoの就学先が、今の段階ですでに決まっているわけではない
と初めて実感したことでした。
※ここで紹介しているのは、私が特別支援学校の先生との立ち話の中で実際に聞いた話です。正式な就学先決定の仕組みについては、次の章で文部科学省の資料をもとに整理します。
Aoにも地域の小学校という選択肢があるのかもしれない
この話を聞くまで、私の頭の中では、
「Ao=将来は特別支援学校」
というイメージがかなり強くありました。
だから先生の話を聞いて、
「そうか。地域の小学校という可能性もあるのか」
と、少し驚きました。
もちろん、この時点で「じゃあAoを普通級に入れよう」と考えたわけではありません。
支援級が合っているかもしれない。
特別支援学校の方が安心して学べるかもしれない。
成長してみたら、今想像しているAoとはまったく違う姿になっているかもしれない。
まだ小さいAoの将来を、今決めることなんてできません。
それでも私の中で大きく変わったことがあります。
それまでは、
「Aoはどこの学校に行くことになるんだろう」
と考えていました。
でも先生と話したあとからは、
「Aoはどんな環境なら、一番安心して成長できるんだろう」
と考えるようになりました。
似ているようですが、私にとっては大きな違いでした。
障害名から学校を考えるのではなく、まずAoを見て、その子に必要な環境を考える。
当たり前のようなことなのに、親になった私はそのことに改めて気づかされました。
ただ、このとき聞いたのは、あくまで先生との立ち話です。
では実際の制度では、障害のある子どもの就学先は誰が、何を基準に決めるのでしょうか。
今回WordPressの記事として書き直すにあたり、私自身も改めて調べてみました。
※この記事は自身のアメーバブログの記事を元に書いています。
障害のある子の就学先はどうやって決まる?
特別支援学校の先生と話したとき、私は「就学時健康診断を受けて、そこで相談しながら決めていく」というイメージを持ちました。
ただ、今回この記事を書き直すにあたって改めて調べてみると、実際の仕組みはもう少し複雑です。
障害のある子どもの就学先は、就学時健康診断だけで決まるわけではありません。
子どもの障害の状態や必要な支援、本人・保護者の意見、専門家の意見、地域の教育環境などを踏まえて総合的に検討されます。
就学時健康診断だけで決まるわけではない
小学校入学前には「就学時健康診断」があります。
そのため私も、
「そこで子どもの状態を見てもらって、普通級・支援級・支援学校のどこに行くか決めるのかな?」
と思っていました。
しかし、就学について考えるのはそこからではありません。
文部科学省の「障害のある子供の教育支援の手引」では、就学時健康診断より前から、
- 就学に関する事前相談
- 教育相談
- 就学説明会
- 学校見学
- 体験入学
などを行いながら、子どもの教育的ニーズや必要な支援を整理していく流れが示されています。
詳しい就学までの流れは、文部科学省の「障害のある子供の教育支援の手引」でも確認できます。
つまり、ある日突然「あなたのお子さんはこの学校です」と決められるようなイメージではないんですね。
特にAoのように障害や医療的ケアがあり、就学について気になることがある場合には、入学直前になって初めて考えるのではなく、早い段階から自治体の教育委員会などへ相談し、実際の学校を見ておくことも大切だと感じました。
私自身も、Aoの就学が現実的な年齢になってきたら、
「普通級に行けるか」
「支援学校になるか」
だけで考えるのではなく、実際にそれぞれの学校を見てみたいと思っています。
教室の雰囲気はどうなのか。
どんな支援を受けられるのか。
医療的ケアにはどのように対応しているのか。
そして何より、Ao自身がそこで安心して過ごせそうなのか。
資料だけでは分からないことも、きっとたくさんあるはずです。
本人・保護者の希望も最大限尊重される
もう一つ、私が気になったのが、
「結局、親の希望はどのくらい聞いてもらえるんだろう?」
ということでした。
文部科学省は、障害のある子どもの就学先を決める際には、本人・保護者へ十分な情報を提供したうえで、本人・保護者の意見を最大限尊重するとしています。
そして教育委員会や学校などと、子どもの教育的ニーズや必要な支援について話し合い、合意形成を行うことが原則です。
これは親として、とても大事な部分だと思います。
ただし、ここで一つ注意したいことがあります。
「親が希望した学校に必ず入れる」という意味ではありません。
「普通級を希望したから必ず普通級」
「支援学校を希望したから必ず支援学校」
という単純な仕組みではないんですね。
親の意見も大切にしながら、その子にどのような教育や支援が必要なのかを一緒に考えていく。
私としては、そう理解するのが一番近いと思っています。
最終的な就学先は教育委員会が総合的に判断する
では、最終的に誰が就学先を決めるのでしょうか。
文部科学省によると、最終的な就学先を決定するのは市町村教育委員会です。
その際には、単に障害名や診断名を見るのではなく、
- 障害の状態
- 教育上必要な支援の内容
- 本人・保護者の意見
- 専門家の意見
- 地域の教育体制や学校の状況
- その他の事情
などを総合的に考えて判断します。
だから、私が以前考えていた、
「ダウン症に○○が加わったら支援学校」
という発想そのものが、現在の就学先決定の考え方とは少し違っていたんですね。
Aoにはダウン症があります。
PVLもあります。
医療的ケアも必要です。
でも、それらの診断名だけを並べて「だからこの学校」と決めるものではありません。
そのときのAoがどんなふうに成長しているのか。
どんなことができて、どんな場面で支援が必要なのか。
本人はどんな環境なら安心して学べるのか。
そして、それぞれの学校でどのような支援を受けられるのか。
そうしたことを一つずつ考えながら、就学先を検討していくことになります。
まだAoは小さいので、今の私たちに答えは出せません。
でも今回調べ直してみて、
「今のAoを見て、6歳になったAoの学校を決めなくてもいいんだ」
ということは、私自身少し安心しました。
これから数年間で、Aoはきっと変わります。
必要な支援だって変わっていくでしょう。
そのときのAoをしっかり見ながら、家族だけで抱え込まず、学校や教育委員会、支援してくれる人たちと一緒に考えていけばいい。
では、一度決めた就学先は、その後ずっと変えられないのでしょうか。
実はここも、私が先生との会話の中で気になったポイントでした。
普通級・支援級・支援学校は途中で変更できる?
特別支援学校の先生と話したとき、もう一つ気になっていたことを聞きました。
「地域の小学校に入学して、もし難しかったら途中から支援学校へ移ることはできるんですか?」
親として考えると、これは結構大きな問題です。
小学校入学時に選んだ場所が、その後6年間ずっと変えられないとなれば、就学先を決めるプレッシャーはかなり大きくなります。
先生からは、年度途中での転籍は簡単なことではないものの、可能性がないわけではないという話を聞きました。
では、制度上はどうなっているのでしょうか。
「一度決めたら卒業まで」ではない
今回改めて文部科学省の資料を確認してみると、一度決めた就学先に卒業まで通い続けなければならない、という仕組みではありません。
文部科学省も、就学後の発達や適応状況などを踏まえ、就学先を柔軟に見直す考え方を示しています。
就学したあとも、子どもの発達の程度や適応の状況、学校で必要としている支援などを見ながら、必要に応じて学びの場を見直していくことが想定されています。
たとえば、入学時には特別支援学級が合っていると考えていても、子どもの成長や学校生活の様子によって必要な支援が変わることもあるでしょう。
反対に、入学して実際に学校生活を送ってみたことで、当初想定していた以上の支援が必要だと分かることもあると思います。
子どもは成長します。
それに合わせて、必要な支援も変わります。
だからこそ、「6歳のときに決めた場所が、その子にとってずっと最適とは限らない」という前提で考える必要があるのだと思います。
これは私にとって、少し安心できることでした。
Aoの将来を考えていると、
「最初の選択を間違えたらどうしよう」
という不安がどうしても出てきます。
でも、本当に大切なのは最初から完璧な答えを出すことではなく、その後もAoの姿を見続けることなのかもしれません。
子どもの成長や適応に合わせて見直すこともできる
ただし、
「合わなかったら、すぐ別の学校へ移ればいい」
というほど単純な話でもありません。
実際に学びの場を変更する場合には、子どもの学校での様子や必要な支援について確認し、保護者や学校、教育委員会などが相談しながら検討していくことになります。
また、具体的な相談の流れや時期、受けられる支援などは自治体や学校によって異なる場合があります。
そのため、転籍を考える状況になったときは、現在通っている学校や自治体の教育委員会などへ早めに相談することが大切です。
私も以前は、
「普通級・支援級・支援学校のどれを選ぶか」
ということばかり考えていました。
でも、今は少し違います。
大切なのは、入学するときに学校名を決めて終わりではなく、
「今、この子にこの環境は合っているだろうか」
と、その後も考え続けることなのだと思います。
これはAoがNICUを退院して自宅へ帰ってきたときにも、私が強く感じたことでした。
同じAoなのに、過ごす環境が変わったことで、私たちの目に映るAoの姿も大きく変わったからです。
その経験は、まだずっと先にあるAoの小学校について考えるうえでも、私の中で大きなヒントになっています。
Aoにとって「一番成長できる場所」はどこなんだろう
特別支援学校の先生と話したことで、Aoの小学校について、私の中にあった選択肢は少し広がりました。
でも、だからといって「できるなら普通級に行かせたい」と思っているわけではありません。
普通級、支援級、特別支援学校。
どこに通うことになったとしても、私が一番大切にしたいのは、
「Aoが安心して過ごし、その中で一番成長できる場所はどこなのか」
ということです。
そう思うのには、Aoが生まれてから経験した、忘れられない変化があります。
NICUから自宅に帰ってAoの表情が変わった
Aoは在胎26週、432gという小さな体で生まれ、長い間NICUで過ごしました。
もちろんNICUは、Aoの命を守ってくれた大切な場所です。
先生や看護師さんをはじめ、たくさんの方に支えてもらいました。
そのことへの感謝は、今でも変わりません。
ただ、当時のAoは本当によく泣く子でした。
面会に行っても泣いている。
抱っこをしても泣いている。
「この子は、ずっとこんなに泣く子なのかな」
そんなふうに思ったこともあります。
ところが、長い入院生活を終えて自宅へ帰ってくると、少しずつAoの表情が変わっていきました。
以前より表情が明るく、柔らかくなったように感じたんです。
もちろん、成長による変化もあったと思います。
NICUと自宅では医療的な環境も生活リズムも違いますから、「自宅に帰ったから変わった」と単純に言い切ることもできません。
それでも、毎日Aoを見ていた親として、
「環境が変わると、こんなに表情が変わるんだ」
と感じたことは、今でも強く覚えています。
環境によって子どもの姿はこんなにも変わる
この経験があるからこそ、私はAoの就学先についても「どの学校が上か、下か」という考え方はしたくないと思っています。
手厚い支援が必要な子にとっては、特別支援学校が安心して力を発揮できる場所になるかもしれません。
地域の子どもたちと一緒に過ごすことで、大きく成長する子もいるでしょう。
支援級という環境が、その子にちょうど合うこともあると思います。
大人から見れば「できない」と思っていたことでも、環境が変わることでできるようになることがある。
反対に、周りから見れば恵まれている環境でも、本人にとって負担が大きければ、本来持っている力を出せないこともあるでしょう。
だから私は、学校の名前だけでAoの未来を決めたくありません。
Aoがどこなら安心できるのか。
どこなら「やってみよう」と思えるのか。
そのときのAo自身を見ながら考えていきたいと思っています。
学校名ではなくAoに合った環境を考えていきたい
正直、Aoが小学生になるころの姿は、今の私にはまったく想像できません。
歩いているのか。
どのくらい言葉で伝えられるようになっているのか。
医療的ケアはどのくらい必要なのか。
どんなことが好きで、何を苦手としているのか。
今考えても答えは出ません。
だから、今の段階で「普通級」「支援級」「特別支援学校」のどれかに決めてしまう必要もないと思っています。
今回、特別支援学校の先生との何気ない立ち話をきっかけに、私の中にあった、
「ダウン症のAoは支援学校に行くんだろう」
という思い込みが一つなくなりました。
その代わりに生まれたのが、
「Aoが一番成長できる環境はどこなんだろう?」
という問いです。
たぶん、その答えは今決めるものではありません。
これからAoが成長していく姿を見て、家族で悩んで、学校を見て、先生や支援してくださる方々の話も聞きながら探していくものなのだと思います。
普通級だから正解でもない。
支援学校だから正解でもない。
大切なのは、その子にとってその場所がどうなのか。
NICUから家に帰ってきたAoの柔らかくなった表情を見て、私はそのことを教えてもらったような気がしています。
数年後、私たち家族がどんな選択をするのかはまだ分かりません。
でも、そのときは「障害名」ではなく、目の前にいるAoを見て決めたい。
今はそう思っています。
まとめ|ダウン症だから支援学校と決まっているわけではない
Aoが生まれたころ、私は「ダウン症の子は将来、特別支援学校に通うものなんだろう」と漠然と思っていました。
でも、特別支援学校の先生との会話をきっかけに調べてみると、実際にはそんな単純な話ではありませんでした。
この記事で紹介したポイントをまとめると、
- ダウン症だから支援学校と決まっているわけではない
- 地域の小学校には普通級(通常学級)や支援級(特別支援学級)という学びの場もある
- 就学先は障害名だけで決めるものではない
- 本人・保護者の意見も最大限尊重される
- 必要な支援や専門家の意見、地域の教育環境なども含めて総合的に検討される
- 最終的な就学先は市町村教育委員会が決定する
- 就学後も子どもの成長や適応状況などに応じて、学びの場を見直すことができる
ということになります。
私自身、特別支援教育に携わっていながら、我が子のことになると分からないことばかりでした。
だからこそ、同じように、
「ダウン症の子は普通の小学校にも通えるの?」
「支援級と支援学校、どちらがいいんだろう?」
「親はどこまで就学先を選べるの?」
と悩んでいる方に、今回調べたことや私たち家族の経験が少しでも参考になればうれしいです。
Aoが実際に小学校へ入学するのは、まだ先の話です。
そのころにどんな成長をして、どんな支援を必要としているのかは、今の私には分かりません。
普通級かもしれない。
支援級かもしれない。
特別支援学校かもしれない。
でも今は、それでいいと思っています。
大切なのは「どの学校に入れたか」ではなく、Aoが安心して過ごし、自分の力を一番発揮できる場所を一緒に探すこと。
これから就学が近づけば、学校見学や就学相談など、きっと新しく経験することも増えていきます。
そのときは、うまくいったことだけではなく、親として迷ったことや「実際はこうだった」という部分も、このブログで残していきたいと思います。
同じようにダウン症や障害のあるお子さんの就学について考えている方がいたら、ぜひコメントなどで経験や悩みを教えてください。
私たちもまだ、答えを探している途中です。

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