「ミルクを飲み終わるまで、また1時間かかった……」
わが家の次男Aoは、授乳にとても時間がかかる赤ちゃんでした。
Aoにはダウン症があり、身体の筋緊張も低めです。
ダウン症の赤ちゃんは、低緊張などの影響で母乳やミルクを飲む力が弱かったり、授乳に時間がかかったりすることがあります。
ただ、Aoの場合はそれだけではありません。
432gという超低出生体重で生まれ、慢性肺疾患もありました。
さらに育てているうちに気になり始めたのが、いつも口がぽかんと開いていること。
「もしかして、口呼吸も関係している?」
当時はそんなことも考えました。
でも、授乳がうまくいかない理由は一つとは限りません。
低緊張、口や舌の動き、呼吸器や心臓の状態など、その子によってさまざまな要因が関係する可能性があります。
この記事では、授乳に1時間近くかかっていたAoの実体験をもとに、
ダウン症の赤ちゃんはなぜ哺乳が苦手になることがあるのか。
授乳中にどんな様子を見ておきたいのか。
気になるときは誰に相談すればいいのか。
僕たち自身の経験と、信頼できる医学情報を分けながらまとめます。
「うちの子も、ミルクを飲むのにすごく時間がかかる」
そんな保護者の方に、一つの参考になればと思います。
ダウン症の赤ちゃんは哺乳力が弱いことがある
ダウン症の赤ちゃんは、ミルクや母乳を飲む力が弱かったり、授乳に時間がかかったりすることがあります。
その理由の一つとして知られているのが、筋緊張の低さ(低緊張)です。
ただし、「ダウン症だから哺乳力が弱い」と単純に決めつけることはできません。
赤ちゃんによって状態は異なり、口や舌の動き、呼吸の状態、心疾患など、さまざまな要因が授乳に影響することがあります。
低緊張が吸う力や口の動きに影響することがある
ダウン症の特徴の一つに、筋緊張の低さがあります。
筋緊張というと、腕や足の筋肉をイメージするかもしれません。
しかし、母乳やミルクを飲むときにも、唇や舌、あごなどを使います。
赤ちゃんは単に乳首をくわえているだけではなく、吸う・飲み込む・呼吸するといった動きを協調させながら授乳しています。
そのため、低緊張などの影響によって、うまく吸えなかったり、飲み続けると疲れてしまったりすることがあります。
哺乳が苦手になる理由は低緊張だけではない
一方で、授乳に時間がかかる理由をすべて「低緊張だから」と考えるのも適切ではありません。
ダウン症の赤ちゃんでは、口や舌の動きなどに加えて、心臓や呼吸器の状態などが授乳に影響することがあります。
たとえば、
- ミルクを飲んでいる途中で疲れてしまう。
- 呼吸が苦しそうになる。
- なかなか必要な量を飲みきれない。
こうした様子がみられることもあります。
つまり、「哺乳力が弱い」という一言の裏側には、その子によってさまざまな理由が隠れている可能性があるということです。
「ダウン症だから飲めない」と決めつけないことも大切
ダウン症の赤ちゃんすべてが、授乳に大きな問題を抱えるわけではありません。
反対に、
「ダウン症だから、飲むのが遅いのは仕方ない」
と決めつけてしまうのも避けたいところです。
- 授乳に極端に時間がかかる。
- むせることが多い。
- 飲んでいる途中で疲れてしまう。
- 体重がなかなか増えない。
そんな気になる様子があれば、主治医などに相談するきっかけにしていいと思います。
そして、わが家の次男Aoも、授乳にはかなり時間がかかる赤ちゃんでした。
どのくらいかというと、
1回の授乳に、1時間近くかかることもあったのです。
息子は1回の授乳に1時間近くかかっていた
わが家の次男Aoは、とにかくミルクを飲むのに時間がかかる赤ちゃんでした。
1回の授乳にかかる時間は、長いときで1時間近く。
「授乳に1時間」と聞くと、
「ゆっくり飲む子なのかな?」
と思うかもしれません。
でも、これが毎日のことになると、なかなか大変です。
少量のミルクを飲むだけでも、とにかく時間がかかった
Aoはゴクゴクと勢いよく飲み続けるというより、少し飲んでは休み、また少し飲む。
そんな授乳になることが多くありました。
「もう少し飲めるかな」
「疲れちゃったかな」
様子を見ながら飲ませていると、あっという間に時間が過ぎていきます。
気がつけば、授乳を始めてから1時間近く経っている。
赤ちゃんの授乳は一日に何度もあります。
1回が長くなれば、それだけ授乳に使う時間も増えていきます。
それでもAoにとっては、それが精いっぱいのペースだったのだと思います。
「どうしてこんなに飲むのが大変なんだろう」
当時の僕たちにとって、授乳は単純に「ミルクを飲ませれば終わり」というものではありませんでした。
Aoがちゃんと飲めているか。
疲れていないか。
呼吸は苦しくなっていないか。
どのくらい飲めたか。
そんなことを気にしながら、一回一回の授乳をしていました。
そして当然、
「どうしてAoは、こんなにミルクを飲むのに時間がかかるんだろう?」
とも思いました。
ダウン症の赤ちゃんは筋緊張が低く、哺乳が苦手なことがある。
そうした知識を知るようになって、少しずつ「Aoが飲むのに時間がかかること」にも理由があるのかもしれないと思うようになりました。
ただ、Aoの場合はそれだけでは説明できません。
Aoはダウン症であることに加えて、432gという超低出生体重で生まれ、呼吸器にも大きな負担を抱えてきた子どもです。
だから僕たちは、「ダウン症だから哺乳力が弱かった」と一つの原因だけで考えることはできないと思っています。
Aoの場合は「ダウン症」だけが原因とは考えられなかった
Aoがミルクを飲むのに時間がかかっていた理由を考えるとき、僕たちは「ダウン症だから」という一言だけでは説明できないと思っています。
Aoには、ダウン症以外にもいくつもの背景があったからです。
ダウン症による低緊張があった
まず考えられるのが、ダウン症の特徴の一つである低緊張です。
Aoも身体の筋緊張が低く、いわゆる「ふにゃっとした」感じがありました。
ミルクを飲むときには、唇や舌、あごなどを使いながら「吸う・飲み込む・呼吸する」という動きを続けなければなりません。
そのため、低緊張はAoの哺乳にも影響していた可能性があります。
ただ、僕たちが実際に育ててきたAoには、もう一つ大きな背景がありました。
432gで生まれた超早産児でもあった
Aoは在胎26週、出生体重432gで生まれました。
生まれてすぐにNICUへ入り、長い入院生活を経験しています。
当然、生まれた直後から一般的な赤ちゃんと同じように口から母乳やミルクを飲めたわけではありません。
小さく早く生まれた赤ちゃんは、本来ならお腹の中で過ごしている時期から、呼吸や栄養など多くのサポートを受けながら成長していきます。
Aoにとって「口から飲む」ということも、少しずつ身につけていく必要がある動作の一つでした。
慢性肺疾患で呼吸にも負担があった
さらにAoには、慢性肺疾患があります。

授乳は、赤ちゃんにとって意外と体力を使います。
吸って、飲み込んで、そして呼吸する。
この動きを繰り返さなければなりません。
Aoの場合は呼吸器にも問題を抱えていたため、ミルクを飲むこと自体が大きな仕事だったのかもしれません。
だから、授乳に1時間近くかかっていたことについて、
「ダウン症だから哺乳力が弱かった」
とも、
「低緊張だけが原因だった」
とも、僕には断定できません。
ダウン症による低緊張。
超早産・超低出生体重で生まれたこと。
慢性肺疾患による呼吸への負担。
いくつもの要素が重なって、Aoなりの「飲みにくさ」があったのではないかと思っています。
そして、そんなAoの授乳を続けるなかで、僕たちはもう一つ気になることに気づきました。
Aoは、口がぽかんと開いていることが多かったのです。
授乳中に気になった「口呼吸」とお口ぽかん
Aoの授乳に時間がかかる日々が続くなか、ある日、僕はInstagramで赤ちゃんの口呼吸について書かれた投稿を見かけました。
その投稿を読んでいて、ふと思ったんです。
「あれ? Aoも口が開いていることが多くない?」
それまでは、そこまで意識していませんでした。
でも一度気になり始めると、普段のAoの様子を見るたびに「お口ぽかん」が目に入るようになりました。
「もしかして口呼吸?」と気づいた
寝ているとき。
抱っこしているとき。
そして、ミルクを飲んでいるとき。
Aoは口が開いていることがよくありました。
ダウン症のある子どもでは、筋緊張の低さなどから口唇を閉じにくかったり、舌が前に出やすかったりすることがあります。
また、鼻や上気道の状態など、呼吸のしやすさに関係する要因も考えられます。
僕がInstagramで見た投稿は、あくまで「気づくきっかけ」でした。
そこから、
「Aoの口が開いていることにも、何か理由があるのかもしれない」
と考えるようになりました。
口呼吸だけを授乳に時間がかかる原因とは決めつけない
当時の僕は、
「もしかして、これがミルクを飲むのに時間がかかる原因なのでは?」
とも考えました。
でも、今振り返ると、そこまで単純な話ではありません。
Aoには低緊張があり、超早産・超低出生体重で生まれ、慢性肺疾患もあります。
さらに、授乳には「吸う」「飲み込む」「呼吸する」という複数の動きが関係します。
そのため、Aoの授乳に1時間近くかかっていた理由を、口呼吸だけに結びつけることはできません。
そして「口が開いている=必ず口呼吸をしている」とも限りません。
ただ、親が日常の中で、
- 「いつも口が開いているな」
- 「飲むときに苦しそうだな」
- 「やけに時間がかかるな」
と気づくことには意味があると思っています。
大切なのは、その一つのサインだけで原因を決めるのではなく、授乳中の様子を全体で見ること。
実際、ダウン症の赤ちゃんの授乳では、「時間がかかる」以外にも気をつけて見ておきたいサインがあります。
ダウン症の授乳で「時間がかかる」以外にも注意したいサイン
「ミルクを飲むのが遅い」
「授乳に時間がかかる」
それだけで、すぐに何か問題があるとは限りません。
赤ちゃんによって飲むペースは違いますし、その日の体調によって時間がかかることもあります。
ただ、ダウン症の赤ちゃんでは摂食・嚥下に難しさを抱えることもあるため、授乳時間だけではなく、飲んでいるときの様子を一緒に見ることが大切です。
授乳中によくむせる・咳き込む
母乳やミルクを飲んでいる途中で、頻繁にむせたり咳き込んだりする。
こうした様子が繰り返しみられる場合は、主治医などに相談したいサインの一つです。
赤ちゃんは「吸う・飲み込む・呼吸する」をタイミングよく繰り返しながら飲んでいます。
そのため、単純な「吸う力」だけではなく、うまく飲み込めているかという視点も大切になります。
飲んでいる途中で疲れる・呼吸が苦しそう
最初は飲めていても、途中からペースが大きく落ちる。
何度も休憩が必要になる。
呼吸が速くなったり、苦しそうに見えたりする。
こうした変化にも注意が必要です。
特に心臓や呼吸器に疾患がある赤ちゃんでは、授乳そのものが大きな負担になることがあります。
Aoも慢性肺疾患があるため、僕たちは「どれだけ飲めたか」だけではなく、呼吸の様子も気にしながら授乳していました。
必要な量を飲めない・体重が増えにくい
授乳に時間をかけても必要な量を飲めない状態が続けば、栄養面への影響も考える必要があります。
大切なのは、
「何分で飲み終わったか」だけで判断しないこと。
飲めている量や体重の増え方なども含めて、赤ちゃん全体の状態を見ていく必要があります。
乳幼児健診や定期受診の際に、授乳量や授乳にかかる時間を伝えて相談するのも一つの方法です。
「むせていないから大丈夫」とも限らない
そして、ダウン症の赤ちゃんの授乳で知っておきたいのが、誤嚥していても分かりやすくむせない場合があることです。
食べ物や飲み物などが気管に入ることを「誤嚥」といいます。
通常は咳き込むことで気づくことがありますが、明らかな咳やむせが出ない「不顕性誤嚥(サイレントアスピレーション)」もあります。
そのため、
「むせていないから、飲み込みには絶対に問題がない」
と家庭だけで判断するのは難しいところです。
もちろん、ダウン症の赤ちゃん全員に誤嚥があるという話ではありません。
ただ、
授乳にとても時間がかかる、頻繁にむせる、飲むと疲れる、呼吸の様子が気になる、体重増加が心配。
こうしたことがあれば、「こんなことで相談していいのかな」と抱え込まず、主治医などに一度伝えてみていいと思います。
では、実際に授乳について気になることがある場合、誰に相談すればいいのでしょうか。
授乳が大変なときは誰に相談すればいい?
赤ちゃんの授乳に時間がかかっていても、
「このくらいなら普通なのかな」
「もう少し大きくなれば上手に飲めるようになるかな」
と迷うことがあると思います。
僕たち親だけで、「これは問題がある」「これは大丈夫」と判断するのは難しいものです。
気になることがあれば、まずは普段から赤ちゃんの状態を知っている医療者に相談するのが一つの方法です。
まずは主治医や小児科へ相談する
ダウン症の赤ちゃんの場合、心臓や呼吸器など、授乳以外の状態が飲み方に影響している可能性もあります。
そのため、
- 1回の授乳にどのくらい時間がかかるか
- 1回にどのくらい飲めているか
- むせや咳き込みがあるか
- 飲んでいる途中で疲れていないか
- 呼吸の様子に変化がないか
- 体重がどのように増えているか
など、普段の様子を主治医や小児科医に伝えてみるといいと思います。
「授乳に時間がかかります」だけではなく、実際にどんな飲み方をしているのかを具体的に伝えることで、状況を共有しやすくなります。
必要に応じて摂食・嚥下の状態を評価してもらう
授乳の様子によっては、赤ちゃんが「吸う」「飲み込む」「呼吸する」という動きをうまく行えているか、より詳しく確認することがあります。
特に誤嚥については、家庭で見ているだけでは分からない場合があります。
必要と判断された場合には、医療機関で摂食・嚥下機能の評価や検査につながることもあります。
すべての赤ちゃんに検査が必要ということではありません。
まずは普段の授乳の様子を伝え、必要性を医療者と相談することが大切です。
STや歯科など多職種につながることもある
摂食・嚥下の支援には、医師だけでなく、言語聴覚士(ST)や歯科医師、看護師、管理栄養士など、さまざまな専門職が関わることがあります。
赤ちゃんの状態や医療機関によって、関わる職種や支援方法は異なります。
だから、「どの専門家のところへ行けばいいの?」と最初から親だけで探し回る必要はないと思います。
まずは主治医などに、
「ミルクを飲むのにすごく時間がかかるんですが、一度みてもらったほうがいいですか?」
と伝えるところからで十分です。
僕自身、Aoを育てるなかで感じるのは、親が日常の中で感じた小さな違和感も、医療者へ伝えるための大切な情報になるということです。
「こんなことで聞いていいのかな」と思うようなことでも、相談したことで初めて分かることがあります。
そして今振り返ると、1時間近くかけてミルクを飲んでいたAoの姿について、当時とは少し違った見方をするようになりました。
1時間の授乳を経験して思うこと
当時の僕にとって、Aoの授乳に1時間近くかかることは、まず「大変」という感覚がありました。
「どうしてこんなに時間がかかるんだろう」
「もう少しスムーズに飲めないのかな」
そんなことを考えることもありました。
でも、今になって振り返ると、少し見え方が変わっています。
Aoなりに一生懸命飲んでいた
僕たちにとっては「1時間かかる授乳」でも、Aoにとっては違ったのかもしれません。
低緊張があり、小さく早く生まれ、呼吸器にも負担を抱えていたAo。
そんな身体で、
吸って。
飲み込んで。
呼吸して。
休んで。
また飲んで。
Aoなりのペースで、一生懸命ミルクを飲んでいたのだと思います。
そう考えると、
「飲むのが遅い赤ちゃん」ではなく、「時間をかけながら飲んでいた赤ちゃん」
だったのかもしれません。
「ダウン症だから仕方ない」で終わらせない
一方で、今回あらためて調べて感じたこともあります。
ダウン症の赤ちゃんは低緊張などによって、哺乳に難しさを抱えることがあります。
でも、すべてを、
「ダウン症だから」
で終わらせてしまうのも違うと思います。
同じダウン症でも、子どもによって身体の状態は違います。
Aoのように心臓や呼吸器など別の疾患を抱えている子もいますし、早産などほかの背景が重なっていることもあります。
だからこそ、
「いつも口が開いているな」
「飲むのにすごく時間がかかるな」
「途中で疲れているように見えるな」
そんな親の小さな気づきも、大切にしていいのだと思います。
それが何かの問題につながっているとは限りません。
でも、気になったことを主治医や専門家に伝えることで、その子に合った方法を一緒に考えてもらえるかもしれません。
育児をしていると、知らなかったことに何度も出会います。
Aoを育てていると、なおさらです。
僕たちもまだ、分からないことだらけ。
だからこれからも、Aoの小さな変化を見ながら、一つずつ知っていけたらと思っています。
まとめ|ダウン症の赤ちゃんの哺乳力には個人差がある
ダウン症の赤ちゃんは、低緊張などの影響によって、母乳やミルクを飲むのが苦手だったり、授乳に時間がかかったりすることがあります。
ただし、授乳の難しさをすべて「ダウン症だから」と考えることはできません。
わが家のAoも、1回の授乳に1時間近くかかることがありました。
でもAoには低緊張だけでなく、超早産・超低出生体重で生まれたことや慢性肺疾患など、さまざまな背景があります。
だから僕たちも、
「これが原因だった」
と一つに決めつけることはしていません。
大切なのは、授乳時間だけを見るのではなく、
むせていないか。
途中で疲れていないか。
呼吸が苦しそうではないか。
必要な量を飲めているか。
体重が増えているか。
そうした赤ちゃん全体の様子を見ることだと思います。
そして気になることがあれば、「ダウン症だからこんなものなのかな」で終わらせず、主治医などに相談していい。
僕たちにとっては何気ない「いつもと違う」が、医療者にとって大切な情報になることもあります。
1時間かけてミルクを飲んでいたAoも、Aoなりのペースで一生懸命飲んでいました。
同じダウン症でも、子どもの状態や成長のペースは一人ひとり違います。
この記事が、授乳に悩んでいるご家族にとって、わが子の様子をもう一度ゆっくり見るきっかけになればうれしいです。

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